2014年02月01日

●Ogurix talk ロックな映画のハナシ

Ogurix Talk

ロックな映画のハナシ
「サウンド・シティ リアル・トゥー・リール」

フー・ファイターズのデイヴ・グロールが監督を務めたロック・ドキュメンタリー。
70年代から80年代にかけてフリートウッド・マック、トム・ペティ、パット・ベネター、
リック・スプリングフィールド、チープ・トリック、ニール・ヤングといったビッグネームが
こぞって使用したレコーディング・スタジオ「サウンド・シティ」

●Ogurix talk ロックな映画のハナシ
サン・フェルナンド・バレーの奥深く、線路裏の倉庫街でVOXのアンプ工場だった場所を
ほぼそのままスタジオにしたというそのスタジオは、カーペットはウイスキーの染みだらけ、煙草の吸殻は至る所に落ちているし、ソファーのスプリングは飛び出ているといった具合のお世辞にも高級なスタジオではなかった。
但し、そこには世界に1台だけしかない特注品のNEVEのコンソールがあった。(楽器の音や声をマイクが拾ってコンソールに集まり、そこを通過した音がテープレコーダーに送られ録音されるわけです)そして、そのコンソールはミュージシャンたちが理想とする極上のサウンドを生み出していた。

現代はコンピューターの発達により、レコーディング・システムは様変わりして録った音は後でいくらでも加工できてしまう。
しかし、ほんの30年前にはそんなことはありえなくて、とにかく1発の録音の出来がすべてだった。
となれば、あそこのスタジオの音はイイゼ、とミュージシャンたちが押し寄せたのも不思議じゃない。
汚い壁には、プラチナ・レコードの額が所狭しと飾られるようになる。
サウンド・シティが伝説のスタジオと呼ばれた所以ですね。

監督のデイヴ・グロールがドラムを叩いていた、あのニルヴァーナ衝撃のデビュー作ネヴァー・マインドもこのスタジオでわずか15日間で録られたものだ。
まさに、ロック・バンドのライヴ感がそのまま詰め込まれた生々しい音こそサウンド・シティならではのものなのだ。

ところが、2000年代に入りProtoolsなどのコンピューターによるレコーディングが主流となっていくと共にサウンド・シティの隆盛の時代は衰退へと向かう。

サウンド・シティというスタジオはスタッフやオーナーの人間性も古き良き時代の家族的というか、アナログな人たちばかりだったようで、デジタル化が進む時代の波に完全に乗り遅れてしまう。

そして2011年。
ついにサウンド・シティは閉鎖を余儀なくされることとなる。

ここまでが、所謂ヒストリー・オブ・サウンド・シティ。

後半は伝説のコンソールをデイヴが買い取り、自分のスタジオに移設して、アナログでしか出せない音をもう一度、とばかりに70年代の大御所ミュージシャン(フィービー・スノウやポール・マッカートニーなど)や、チープ・トリックのリック・ニールセンや、ナイン・インチ・ネイルズ、フィアー、リック・スプリングフィールド、トム・ペティといった強者たちと、スタジオで共にアレンジや作曲をしながらレコーディングしていく様子が描かれる。
ほとんどが基本1発録り。
呼ばれたミュージシャンたちも若造に負けてられるか、的な意気込みとまさにアナログな音楽のつくり方にテンションが上がり、緊張感と幸福感に溢れた演奏を披露していく。
そう、そこには音楽の本質的な姿、アナログ式でなければ生まれようのない音楽の持つ歓びが溢れていた。

音楽だけではなく、なんでもかんでもデジタルデジタル。どんどん便利な世の中になって、さて、人間的な豊かさは逆に失われつつありゃーしませんか?
というね。
デジタル音痴の俺が言っても説得力ないかもしれませんが、とにかくレコーディングの技術に関しては、後で簡単に直せたり加工できる、という状況と、この1発に命をかけねば、という状況では、どちらが良いものを生み出すか。
緊張感なしに傑作は絶対に生まれない、と思う。

やり直しが効かないからこそ、成し遂げた時の達成感があるわけで、それはまさに人生と同じ。

なんてね。

ま、とにかく、後半のレコーディング風景は圧巻であります。

プロの凄み、見せつけられます。

DVDの特典映像で入っている3曲も凄いです。

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Posted by ENDLESS WAY at 11:58│Comments(2)●Ogurix Talk
この記事へのコメント
自分は、もうちょっと新しい世代ですが(笑)、資質的にはほぼ全体的にアナログな人間なので、答えがコレと限定されるひとつではない、いくらでも広がっていけるアナログなやり方は基本、好きです。

加工していないそのままの声や音を大切にすることや、まぁ時代は常に巡っていくものなので、デジタルもアナログもそれだけでは出来ない足りないものをちょっとずつ補いあって、いいとこどりでうまく融合させて、より可能性を広げて行けたら更にいいんじゃないかな。。。物事すべてに於いてそんなふうに思っちゃいます。


専門的なことはわかりません(笑)
観ていないので、映画の感想も書けませんが(^_^;)

本物のプロフェッショナルの、ライヴ一発録りのカッコ良さには全身鳥肌が立つし、感動で涙が出ちゃいます。そういうシーンを体験しに行くのが、大好きです(^^)v

あ、そんな話はどうでもいいっか。
失礼(笑)
Posted by BLADES at 2014年02月02日 15:54
Bladeさん。
仰る通り、デジタルの発達で資金無くても、クオリティの高い音で作品化出来るようになって、若い才能がどんどん勝負出来る時代っつーのはイイよね。それが当たり前の環境の世代では、当然そっから切磋琢磨してくわけで。実際今の10代20代のバンド、レベル高い。youtubeとかで古今東西のライブ映像見れるっつーのは、スゲーよなー。センス磨かれるし、無駄な努力省けるし。本質見抜く能力あるやつにはイイ時代だと思うね。ダメなやつはダメだけど。ダメだっつーことにも早めに気づけるだろーし。ま、デジタル音痴なんつってはなから諦めたりせずに、良いとこは吸収出来るように、おっちゃん頑張ります。
Posted by Ogurix at 2014年02月07日 21:44
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